>>トップページ >> 耳鳴治療

 耳鳴りは、だれもが一度は経験するごくありふれた体の反応です。でも、これが、何か月も続いて消えなければ、その音に知らず知らずに意識が集中して、心身ともに耳鳴りのために疲弊してしまいます。耳鳴りは、内耳の聞こえの感覚細胞に異常があると発生しやすくなります。騒音による難聴、突発性難聴、メニエール氏病、老人性の難聴などが原因で生じますが、難聴のない人でも耳鳴りを自覚する場合もあり、詳しい原因はわかっていませんでした。しかし、最近になって、米国の研究者らにより、耳鳴りが慢性化するメカニズムが解明されてきました。それは、「耳鳴り」は何らかの脳内の神経の興奮を知覚しているもので、脳による「信号音に対する誤った過度の意識集中」が原因であるというものです。私たちの脳は24時間常に音情報を耳(内耳)から受け取っています。
 脳は通常、無意識のうちに、その音が「重要」か「重要ではない」かを、ふるいにかけて、「重要ではない」信号音は私たちの意識には上りません。しかし、本当は「重要ではない」として無視されるはずの耳鳴りの音が、「重要」であると誤って意識されると、脳はその後も、耳鳴りに常に意識を集中し、危険信号として監視するようになるのです。
 従って、危険信号と錯覚している脳の過剰反応を抑え、その音に脳を順応させることで、慢性的な耳鳴りを軽減することができるのです。これが耳鳴治療の本質です。
難聴の治療を行った上で、耳鳴りがなお気になる方には、当院では、以下のような治療を行っています。

  1. カウンセリングと内服治療:耳鳴りの発生の仕組みを理解してもらい、意識を集中しないようにする工夫をご紹介します。内服治療(抗不安剤・抗うつ剤・睡眠剤など)は補助的に行います。
  2. キシロカイン点滴治療:耳鳴りが慢性化して一日中続いている場合には、局所麻酔薬を点滴することで耳鳴りの原因となっている脳内の過剰な電気的信号を一時的に消して悪循環を解消します。主に中等症以上の方に行います
  3. TRT治療:耳鳴りの音に対して脳を慣れさせる治療です。サウンドジェネレーターという小さな雑音発生装置を毎日3~4時間使用します。1ヶ月で耳鳴りは小さく感じるようになり、3~6ヶ月で耳鳴りは気にならなくなります。治療効果は高く80%以上の方に何らかの効果があります。中等症以上の方に行います。

たかが耳鳴り、されど耳鳴りです。耳鳴りは治すことのできる病気です。あきらめずに一度専門医にご相談ください。